【短篇小説】時をかける温泉街、心の欠片を拾い集めて|地獄谷野猿公苑

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第2章 国宝松本城、歴史を語る老城主との出会い

松本駅に到着したユキは、駅前の広場で、深呼吸をした。空気が澄んでいて、都会とは違う、爽やかな風が吹いている。ユキは、リュックサックを背負い直し、松本城へと向かった。

駅から松本城までは、徒歩で約15分。ユキは、城下町の風情を残す街並みを、ゆっくりと歩いていく。道端には、色とりどりの花が咲き乱れ、ユキの目を楽しませてくれる。

「おばあちゃん、見てる…?」

ユキは、空を見上げ、心の中で呟いた。祖母と一緒に、この道を歩いた日のことを思い出す。祖母は、いつもユキの手を引いて、ゆっくりと歩いてくれた。

松本城の入り口に到着すると、ユキは、その雄大な姿に、改めて圧倒された。黒と白のコントラストが、青空に映えて、美しい。ユキは、カメラを取り出し、夢中でシャッターを切った。

城内に入ると、ユキは、急な階段を上り、天守閣を目指した。階段は、古く、木の軋む音が、ユキの足元で響く。ユキは、まるで、タイムスリップしたかのような感覚に陥った。

天守閣からは、松本市街が一望できた。遠くには、北アルプスの山々が連なっている。ユキは、その雄大な景色に、息を呑んだ。

「おばあちゃん、見て…、きれいだよ…」

ユキは、涙をこらえながら、呟いた。祖母と一緒に、この景色を見たかった。ユキは、しばらくの間、天守閣から景色を眺めていた。

城内を歩いていると、ユキは、一人の老人に声をかけられた。老人は、白髪の混じった髪を後ろで束ね、優しい目をしていた。

「お嬢さん、松本城は初めてかい?」

老人は、ユキに、そう尋ねた。

「はい、初めてです…」

ユキは、少し緊張しながら答えた。

「そうか、それは良かった。松本城は、素晴らしい城だろう?」

老人は、そう言って、微笑んだ。

「はい、とても…」

ユキは、老人の言葉に、深く頷いた。

「私は、この城の近くで生まれ育ったんだ。もう、80年以上になるかな…」

老人は、そう言って、遠くを見つめた。

「この城には、たくさんの思い出がある。子供の頃は、よく、ここで遊んだものだ…」

老人は、懐かしそうに、そう語った。ユキは、老人の話に、興味深く耳を傾けた。

「お嬢さんは、どこから来たんだい?」

老人は、ユキに、そう尋ねた。

「名古屋からです…」

ユキは、そう答えた。

「そうか、名古屋から…、それは、遠いところから、ようこそ…」

老人は、そう言って、再び微笑んだ。

「この城は、戦国時代から、たくさんの戦を見てきた。でも、こうして、今も、美しい姿を残している。それは、この城が、人々に愛されてきたからだと思うんだ…」

老人は、そう語った。

「お嬢さんも、この城を、好きになってくれると嬉しいな…」

老人は、そう言って、ユキの肩を、優しく叩いた。

「はい、ありがとうございます…」

ユキは、老人の言葉に、深く感動した。ユキは、この城が、もっと好きになった。

老人は、ユキに、城の歴史や、城にまつわるエピソードを、詳しく教えてくれた。ユキは、老人の話を聞きながら、メモを取った。

「お嬢さんは、熱心だね…」

老人は、ユキの姿を見て、そう言った。

「はい、歴史が好きなんです…」

ユキは、そう答えた。

「それは、素晴らしいことだ。歴史を知ることは、自分を知ることにも繋がるからね…」

老人は、そう言って、頷いた。

ユキは、老人との出会いを、心から感謝した。老人の話を聞いて、ユキは、松本城の歴史を、より深く理解することができた。そして、何よりも、老人の優しさに触れ、ユキの心は、温かいもので満たされた。

…3章に続く

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