短距離走のタイムを縮める「滞空比」とは?科学的トレーニングの秘訣

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【科学が解明】あなたの走りを変える「滞空比」の秘密。

記録を更新する腕と脚の”見えない力”とは

「練習はしているのに、なぜか自己ベストが出ない…」
「ストライドを伸ばしたいけど、どうすればいいか分からない…」

スプリンターなら誰もが一度はぶつかるであろう「記録の壁」。あなたも今、そんな伸び悩みを抱えていませんか?がむしゃらに腕を振り、力強く地面を蹴る。それでも縮まらない0.1秒。その原因は、あなたの努力不足ではなく、走りに対する「視点」にあるのかもしれません。

この記事では、そんなあなたの悩みを打ち破るための科学的な鍵、「滞空比」について、研究論文を基に解説します。この記事を読めば、「地面をどう蹴るか」だけでなく、「空中で何をするべきか」という全く新しい視点が得られ、あなたの走りは次のレベルへと進化できるかもしれません。

この記事のポイント

  • スプリントの速さを決めるのは「滞空比」という新しい指標であること
  • 滞空比を高める鍵は、接地の一瞬に生まれる腕と脚の「見えない力」にあること
  • その力を生み出すための具体的な「スイングの速さ」と「引きつけの意識」

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なぜ「ただ速く動かす」だけではダメなのか?スプリントのジレンマ

短距離走の速さは、単純化すると「ピッチ(脚の回転数)」×「ストライド(歩幅)」で決まります。多くの選手は、速く走るために接地時間(Stance Time)を短くしようと意識します。これは間違いではありません。実際に、トップ選手ほど接地時間は短い傾向にあります。

しかし、ここには大きな落とし穴があります。

接地時間を短くすることばかりに気を取られると、地面に力を加える時間が不足し、結果的に滞空時間(Flight Time)が短くなってしまうのです。滞空時間が短くなれば、当然ストライドは狭くなり、せっかくピッチを上げてもスピードは頭打ちになってしまいます。

接地時間を短くしたい
→ でも、力が伝わらないと滞空時間が短くなる
滞空時間を長くしたい
→ でも、接地時間が長くなってはピッチが落ちる

このジレンマを解決する指標こそが、滞空比(Flight Ratio)です。

滞空比 = 滞空時間 ÷ 支持時間

この数値が高いほど、「短い接地で、より長い滞空時間を生み出している」効率の良い走り、ということになります。そして、今回ご紹介する研究では、特にピッチを変えずにストライドを伸ばして疾走速度を向上させたい場合、この滞空比を高めることが極めて重要であると結論づけています。

滞空比を高める鍵:「相対鉛直加速力」という”見えない力”

では、どうすればこの「滞空比」を高めることができるのでしょうか?答えは、地面に加える鉛直方向の力(鉛直地面反力)を増大させることです。

「なんだ、結局は地面を強く蹴るってことか」

そう思ったかもしれません。しかし、この研究の本当に面白いところは、その力の源が「支持脚のキック力」だけではない、と明らかにした点にあります。真の鍵は、支持脚が地面に着く瞬間に、空中にある腕と回復脚(前方に振り出す脚)が生み出す「相対鉛直加速力」だったのです。

空中で「見えない天井」を突き上げろ!

物理の法則(作用・反作用の法則)を思い出してください。あなたが腕や脚を上方向に力強く加速させれば、その反作用として、あなたの体幹や骨盤には下方向への力が加わります。

① 腕と脚を上に加速 ② 反作用で身体が下に押される ③ 地面反力が増大! (滞空時間UP)

この下向きの力は、支持脚を通して地面に伝えられ、あなたが本来持っているキック力に上乗せされます。つまり、空中で腕や脚をうまく使うことで、あなたは見えない力で地面をより強く押すことができるのです。これが、滞空比を高めるメカニズムの核心です。

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トップスピードを高める3つの真実

この研究は、16人の男子学生スプリンターの60m走をハイスピードカメラで分析し、驚くべき事実を明らかにしました。

1重要なのは接地「後」ではなく、接地「時」の力

分析の結果、接地した瞬間における前方腕(FAM)、後方腕(BAM)、回復脚(RLG)の全ての相対鉛直加速力が大きい選手ほど、滞空比が有意に高いことが判明しました。

驚くべきことに、支持期全体を通した力の「最大値」の大きさは、滞空比と関係がありませんでした。重要なのは、筋肉が生み出す力のピークの大きさではなく、地面に足が着くその瞬間に、いかに大きな上向きの加速を腕と脚で生み出せているか、だったのです。

2力の大きさよりも「タイミング」が命

さらに、滞空比が高い選手は、接地してから相対鉛直加速力が最大になるまでの時間が極めて短いという特徴がありました。

これは、「接地してから、よーいドンで力を入れる」のではなく、「力のピークをまさに接地の瞬間に合わせにいく」という、非常に高度な技術要素を示唆しています。最高のタイミングで力を発揮することで、最短の接地時間で最大の鉛直地面反力を引き出し、効率的に体を空中へ押し出しているのです。

3力を生み出す2つの要素「スイング速度」と「引きつけ加速」

では、その接地時の「相対鉛直加速力」はどうすれば高められるのでしょうか?研究チームはさらに分析を進め、その力を構成する最も重要な運動学的要因を2つ突き止めました。

  • 高い角速度(Angular Velocity)
    これは単純に「腕や脚のスイングスピードが速いこと」を意味します。速く振れば振るほど、大きな力が生まれます。
  • 高い短縮加速度/低い伸長加速度(Shortening/Extension Acceleration)
    これが最も重要で、少し難解なポイントです。これは、腕や脚がその回転中心(肩や股関節)に対して「近づく方向へ加速しているか」を示します。
    • 腕(前方・後方):短縮する加速度が高い、つまり、肘を曲げながら肩に向かって力強く引きつける動きが、大きな力を生み出します。
    • 回復脚:伸長する加速度が低い、つまり、膝から下が遠心力で前方に放り出されるのを抑え、股関節周りにコンパクトに引きつけておく動きが重要になります。
力任せに手足を遠くへ、前へ後ろへと動かすのではありません。高速でスイングしつつ、同時に体の中心に向かってキュッと引き締める(あるいは伸びすぎないようにコントロールする)。この2つの動きのコンビネーションが、爆発的な相対鉛直加速力を生み出すのです。

明日からできる!あなたの走りを変えるための2つの意識改革

💪

1. 腕振り:「後ろに引く」→「身体に引きつける」へ

腕振りを「前後に大きく振る」というイメージから、「高速でスイングしつつ、接地に合わせて肘を体幹に引きつける」という意識に変えてみましょう。特に、後ろに引いた腕(BAM)を前方に切り返す際、遠回りさせずに最短距離で、かつ力強く身体の近くを通す意識が、高い相対鉛直加速力に繋がります。

🦵

2. 脚のリカバリー:「前へ運ぶ」→「真上に引き上げる」へ

回復脚を「遠くへ、前へ」と意識するのではなく、「接地時に、膝を高く、そしてコンパクトに股関節へ引きつける」ことを意識してください。力任せに脚を前方に蹴り出すと、脚は伸び切ってしまい「伸長加速度」が高くなってしまいます。そうではなく、太ももを素早く前上方に引き上げ、膝から下はリラックスさせる感覚です。この動きが、体を下へ押し付ける「見えない力」を生み出します。

【重要】注意点:感覚と実際の動きは人それぞれ

最後に、これらの意識を練習に取り入れる上で非常に大切な注意点です。ここで紹介した「引きつける」や「引き上げる」といった表現は、あくまで科学的な結果を動きのイメージに翻訳した一例です。人間の身体は骨格や筋力、柔軟性が一人ひとり異なるため、同じ動きを目指す場合でも、しっくりくる「感覚」は人それぞれです。

ある選手にとっては「引きつける」という感覚が最適な動きに繋がる一方、別の選手にとっては「地面を叩きつける」や「身体の軸を締める」といった感覚の方が、結果的に同じ効果を生むこともあります。

大切なのは、言葉通りに形を真似るだけでなく、「なぜその動きが必要なのか(=接地時に腕や脚の上方への加速力を最大化するため)」という本質を理解し、あなた自身の身体と対話しながら最適な感覚を見つけ出すことです。コーチの客観的な視点や、ビデオ撮影によるフォームチェックなどを活用し、ご自身の感覚と実際の動きのズレを修正していく作業が、記録更新への確実な一歩となるでしょう。

参考: 短距離走の最大速度局面における滞空比と上肢および回復脚の相対鉛直加速力との関係

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