電流源の仕組み|なぜ電圧が変わっても電流は一定?能動/受動の2タイプを解説

物理

電流源の仕組み

なぜ電圧が変わっても電流は一定?その謎、5分で解明します

「電圧をかければ電流が流れる。電圧が高ければ、電流も大きくなる。」
オームの法則で習った、電気の世界の常識ですよね?

しかし、もし「電圧がどんなに変わっても、流れる電流は常に一定」という、魔法のような電源があるとしたら…?

電気の常識がひっくり返るような、エキサイティングな世界へご案内しましょう。

この記事の概要

本記事では、まず「電流源」が「電圧源」とどう違うのかという基本から解説します。次に、電流源の核心である2つのタイプ、すなわち「電圧を巧みに調整する能動的電流源」と「物理現象に支配される受動的電流源」について、豊富な例え話を交えながら、その仕組みを徹底的に解き明かしていきます。


電流源とは?電圧源との根本的な違い

まず、私たちの最も身近な電源である「電圧源」と比較してみましょう。

電圧源

乾電池やコンセントなど

役割
電圧を一定に保とうとする。
動作
接続される負荷(抵抗)によって、流れる電流が変化する。

例: 1.5Vの乾電池に豆電球(抵抗が小さい)をつなげば大きな電流が流れ、LED(抵抗が大きい)をつなげば小さな電流が流れます。

電流源

定電流回路

役割
電流を一定に保とうとする。
動作
接続される負荷(抵抗)が変わっても、流れる電流は一定。その代わり、電圧が変化する。

オームの法則 I = V / R を思い出してください。電流 I を一定に保つためには、抵抗 R の変化に合わせて、電源が自ら電圧 V を調整してあげなければなりません。

電流源とは、まさにこの「電流を一定に保つための自動電圧調整装置」なのです。

では、一体どうやってそんな器用なことをしているのでしょうか?その答えは、電流源の「タイプ」によって全く異なります。電流源の世界には、まるで性格の違う2人のシェフが存在するのです。


タイプA:調整するシェフ「能動的な電流源」の仕組み 👨‍🍳

1人目のシェフは、レシピ(目標電流)通りに料理を仕上げるためなら、火加減(電圧)の調整を一切惜しまない、完璧主義なシェフです。これを「能動的(アクティブ)電流源」と呼びます。

主役はトランジスタ!フィードバック制御の妙技

この能動的電流源の主役は、トランジスタという電子部品です。トランジスタは、小さな制御信号によって、大きな電流の流れをコントロールできる、電子的な蛇口のようなものです。

この仕組みを理解するために、ダムの放流システムを想像してみてください。

ダムの放流モデル (フィードバック制御)

このように、出力の結果を常に監視し、目標値からズレないように原因側を調整し続ける制御を「フィードバック制御」と呼びます。能動的電流源は、トランジスタを使ったフィードバック制御によって、負荷抵抗がどう変わろうと出力電圧を巧みに調整し、電流を一定に保っているのです。

このタイプの電流源は、集積回路(IC)において極めて重要です。例えば、米国の半導体メーカーTexas Instruments社の定電流IC「LM334」は、印加電圧が1Vから40Vまで大きく変化しても、出力電流の変化はわずか0.02%/Vという安定性を誇ります。

タイプB:素材で決まるシェフ「受動的な電流源」の仕組み 🧑‍🌾

ここからが、多くの人が「?」となるポイントです。「トランジスタのような能動的な制御がないのに、電流源として振る舞う部品があるらしい。例えば、光センサー。あれはどういうこと?」

その答えが、2人目のシェフ、「受動的(パッシブ)電流源」です。このシェフは、調理法(電圧)を工夫するのではなく、その日に仕入れた食材(物理現象)の量で、作れる料理の量(電流)が上限として決まってしまう職人肌のシェフです。

光センサーの仕組み:回路と物理で解き明かす

フォトダイオードなどの光センサーが、この受動的電流源の代表例です。その仕組みを、「回路」と「物理」の両面から見ていきましょう。

フォトダイオードの動作原理

1. 回路の話 (逆バイアス)

外部電源(Vcc)と抵抗(R)を使い、センサーに逆向きの電圧をかけます。この抵抗Rが、センサーが生成した「電流」を、測定しやすい「電圧(V_out)」に変換する重要な役割を担います。

2. 物理の話 (電子の発生)

逆電圧により内部に「電気的な坂道(電界)」が準備されます。そこに光が当たると、そのエネルギーで電子が解放され、電界の力で坂道を一気に駆け下ります。

3. 回路と物理の連携 (電流の取り出し)

坂道を下った電子は電極から外部回路へ取り出され、抵抗Rを通って電源へ戻るループを形成します。この電子のループこそが「光電流」の正体です。p-n接合部は、発生した電子を外部へ効率よく送り出すための「仕分け通路」として機能しているのです。

もう一つの代表例:定電流ダイオード(CRD)

この受動的電流源の考え方を製品にしたのが、定電流ダイオード(CRD)です。

CRDは、内部にJFETというトランジスタを持ち、その物理的な「電流飽和特性」(ある電圧以上では電流が増えなくなる性質)を利用して、光のような外部エネルギーなしに、それ単体で一定の電流を流し続けます。


まとめ:2人のシェフを理解すれば、電流源はもう怖くない

最後に、2つの電流源の本質をもう一度確認しましょう。

能動的な電流源

調整するシェフ

仕組み
フィードバック制御で能動的に電圧を調整する
主役
トランジスタ、オペアンプなど
イメージ
ダムの水門を自動制御するシステム
キーワード
調整フィードバック制御

受動的な電流源

素材で決まるシェフ

仕組み
物理現象によって電流の上限が受動的に決まる
主役
フォトダイオード、定電流ダイオード(CRD)など
イメージ
畑の収穫量で決まるベルトコンベア
キーワード
上限飽和物理法則

「電圧が変わるのに電流は一定」という不思議な現象。
それは、一方が「電流がズレないように、必死に電圧を調整し続ける」ことで実現され、もう一方が「そもそも、それ以上の電流が物理的に流れようがない」ことで実現されていたのです。

この2つの違いがわかれば、あなたはもう電流源の仕組みを本質から理解したも同然です。電子回路の設計や解析において、この視点はきっとあなたの強力な武器になるでしょう。

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