【図解】株式保有割合で何ができる?1株でも持てる株主の権利を完全マップで徹底解説

株式投資メモ

もし、あなたが応援している企業の株を1株手に入れたら、何ができると思いますか?
「何もできない」なんて思っていませんか?

実は、たった1株でも会社の経営に声を届けられる「権利」があり、その保有割合が増えるごとに、会社の未来を左右するほどの強力な力を手に入れることができるのです。

この記事では、会社の支配権の鍵を握る「株式保有割合」の謎を、初心者の方にも分かりやすく、そして深く、プロの視点から徹底的に解説します。スタートアップ経営者から個人投資家、そして会社の仕組みを学びたいすべての人へ。この記事を読めば、あなたの持つ「1株」の価値が全く違って見えるはずです。

この記事の概要

  • 株式保有割合の基本:なぜこの数字が重要なのかを解説
  • 保有割合別・権利完全マップ:1株から100%まで、何ができるのか一目でわかる
  • 株主総会の仕組み:会社の意思決定プロセス(普通決議・特別決議)を理解する
  • 専門家コラム:経営者と投資家が知るべき実戦的知識(資本政策・M&A)
  • リアルな事例:実際の事件から株主の権利の重要性を学ぶ

そもそも「株式保有割合」とは?なぜ重要なのか

株式保有割合(持株比率)とは、会社が発行している全ての株式のうち、特定の株主がどれくらいの割合の株式を保有しているかを示す指標です。

「会社の所有者は株主である」

これは株式会社の絶対的な原則です。そして、株主は保有する株式の数に応じて、会社の経営方針に影響を与える「議決権」を持ちます。つまり、株式保有割合は、そのまま会社に対する影響力の大きさ(支配力)に直結する、極めて重要な数字なのです。

【保有割合別】株主の権利 完全マップ

ここからは、保有割合に応じてどのような権利が認められるのか、具体的に見ていきましょう。まるでゲームのレベルアップのように、保有割合が増えるごとに「できること」が劇的に増えていきます。

1株以上
監視者・提言者

主要な権利:株主代表訴訟の提起、議事録閲覧など

1%以上
アジェンダ設定者

主要な権利:株主総会での議案提案権

3%以上
経営の監査役

主要な権利:株主総会招集、会計帳簿閲覧など

1/3超 (約33.4%)
重要事項の拒否権

主要な権利:特別決議の否決

1/2超 (50%超)
経営陣の掌握

主要な権利:普通決議の可決

2/3以上 (約66.7%)
会社の完全支配

主要な権利:特別決議の可決

90%以上
完全なるオーナー

主要な権利:スクイーズアウト(少数株主の排除)

レベル1:1株でも持っているだけで行使できる「単独株主権」

1株でも保有していれば、あなたは立派な会社のオーナーの一員です。以下のような、会社の経営を監視・是正するための基本的な権利が与えられています。

  • 株主代表訴訟の提起権: 取締役の不正行為などで会社が損害を被った場合、会社に代わってその取締役の責任を追及する訴訟を起こせます。
  • 株主総会議事録の閲覧・謄写請求権: 株主総会でどのような議論がなされ、どう決まったのかを正確に知る権利です。
  • 取締役の違法行為差止請求権: 取締役が法令や定款に違反する行為を行い、会社に回復不能な損害が生じる恐れがある場合、その行為をやめるよう請求できます。

東京電力株主代表訴訟: 福島第一原発事故を巡り、株主が旧経営陣に対して約13兆円という巨額の賠償を求めたこの訴訟は、まさに単独株主権の行使例です。たった一人の株主の行動が、巨大企業の経営責任を問うきっかけとなり得ます。

レベル2:経営への影響力が高まる「1%以上」の権利

総議決権の1%以上(または300個以上の議決権)を6ヶ月以上保有すると、経営に対してより積極的に関与できます。

  • 株主総会での議案提案権: 「新しい事業を始めるべきだ」「この役員報酬は高すぎる」といった自分の考えを、株主総会の議題として提案できます。経営陣が提示する議題に賛否を投じるだけでなく、自らアジェンダを設定できる強力な権利です。

レベル3:経営の不正を暴く!「3%以上」の強力な権利

総議決権の3%以上を6ヶ月以上保有すると、会社の内部にまで踏み込む、さらに強力な監視権限が手に入ります。

  • 株主総会の招集請求権: 取締役会が株主総会を開かない場合、自ら総会の招集を請求できます。
  • 会計帳簿の閲覧・謄写請求権: 会社の財務に不審な点がある場合、「お金の流れ」を直接チェックできます。これは粉飾決算などの不正を暴くための非常に重要な武器となります。
  • 役員の解任請求権: 役員に不正行為などがあったにもかかわらず、株主総会で解任議案が否決された場合に、裁判所に解任を訴えることができます。

レベル4:重要事項を「NO」と言える!「3分の1(約33.4%)超」の力

このラインを超えると、守りの力が格段に上がります。会社の根幹に関わる重要な意思決定(特別決議)を、単独で阻止できる「拒否権」を持つことになります。

  • 特別決議の単独否決権: 例えば、経営陣が会社の重要な事業を他社に売却しようとしても、あなたが「NO」と言えば、それを止めることができるのです。

レベル5:会社の舵を取る!「過半数(2分の1超)」の経営権

過半数、つまり50%を超える株式を保有すると、あなたは名実ともにその会社の経営支配権を握ったことになります。

  • 普通決議の単独可決権: 取締役や監査役の選任・解任、役員報酬の決定、剰余金の配当といった、会社の基本的な意思決定を自分一人で決めることができます。気に入らない経営陣を交代させ、自分の意のままに会社を運営することが可能です。

レベル6:会社のルールさえ変えられる!「3分の2(約66.7%)以上」の絶対的な力

このレベルに達すると、会社の憲法ともいえる「定款」の変更すら可能になります。まさに会社の絶対的な支配者です。

  • 特別決議の単独可決権: 以下の様な、会社の形を根本から変える重大な決定を、すべて自分一人で実行できます。
    • 定款の変更: 事業目的の変更など。
    • 事業の全部譲渡: 会社の事業を丸ごと売却する。
    • 合併・会社分割: 他の会社と合併したり、会社を分割したりする。
    • 資本金の減少

最終レベル:会社を完全に掌握する「90%以上」の権利

総議決権の90%以上を保有すると、「特別支配株主」となり、最終手段ともいえる権利を行使できます。

  • スクイーズアウト(株式等売渡請求): 残りの少数株主に対して、その保有する株式のすべてを売り渡すよう請求できます。つまり、金銭を対価として、他の株主を強制的に退出させ、100%子会社化(完全な所有)を達成できるのです。

LINEのスクイーズアウト: Zホールディングス(当時)がLINEを完全子会社化する際、株式公開買付(TOB)に応じなかった少数株主から、このスクイーズアウトの手法を用いて株式を取得しました。

株主の意思はこうして決まる!「株主総会」と決議の種類

株主の権利は、主に「株主総会」という場で、議決権の行使を通じて実現されます。そして、決議事項の重要度によって、必要な賛成の数が異なります。

普通決議

会社の日常的な意思決定

  • 役員の選任・解任
  • 役員報酬の決定 など

【可決要件】

  • 議決権の過半数を持つ株主が出席
  • 出席した株主の議決権の過半数の賛成

特別決議

会社の将来を決める重要な意思決定

  • 定款変更、事業譲渡
  • 合併、解散 など

【可決要件】

  • 議決権の過半数を持つ株主が出席
  • 出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成

なぜ特別決議のハードルが高いのか?
それは、これらの事項が後戻りできない重大な変更であり、少数の株主の利益を不当に害することがないよう、より慎重な合意形成を求めるためです。

「持ち株比率」の実戦知識

スタートアップ経営者へ:その資金調達、経営権を失っていませんか?

シード期やシリーズAで外部から資金調達する際、投資家に渡す株式の比率には細心の注意が必要です。創業者の持ち株比率が下がりすぎると、将来的に経営の自由度が失われ、最悪の場合、自分が作った会社から追い出される(解任される)リスクすらあります。

専門家は、少なくとも創業者(経営陣)で3分の2(66.7%)以上、最低でも過半数(50%超)を維持することを強く推奨します。安易な資金調達は、未来の経営権を切り売りしているのと同じことだと肝に銘じてください。

M&Aにおける株式保有割合の攻防

企業の買収(M&A)は、まさに株式の奪い合いです。

  • 敵対的買収: 買収対象の会社の経営陣の同意を得ずに、市場で株式を買い集め、経営権の取得を目指します。買収側は、経営権を握るため最低でも過半数の取得を目指します。
  • 買収防衛策: 逆に、買収されたくない企業は「ポイズンピル」などの防衛策を発動します。これは、敵対的買収者以外の株主が著しく有利な価格で新株を取得できるようにすることで、買収者の持ち株比率を下げ(希薄化させ)、買収コストを跳ね上がらせる戦略です。

まとめ:あなたの「1株」は、未来を変える可能性を秘めている

株式保有割合とそれに伴う権利は、単なる法律の知識ではありません。それは、株式会社というシステムの根幹をなす、力と意思のルールです。

  • 1株でもあなたは会社の監視者になれる。
  • 3分の1を超えれば、会社の暴走を止める拒否権を持つ。
  • 過半数を制すれば、会社の経営をリードできる。
  • 3分の2を掌握すれば、会社の運命を決定できる。

この記事を通じて、あなたが持つ株式、あるいはこれから持とうとする株式の真の価値と力をご理解いただけたなら幸いです。あなたのその1株が、会社の、そして社会の未来をより良い方向に動かす、きっかけになるかもしれません。


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